居酒屋専門・客単価UPコンサルタント/税理士 林 良江です。
今日は、飲食店の「お金の管理術」をご紹介します。
今からご紹介する方法は、ちょっと面倒です。
ですが、しばらく続けていれば慣れてきます。
手順さえ間違えなければ、お金は貯まり始めます。
さぁ、今日から始めましょう!
目次
どうして、多くの飲食店で、お金が不足するのか?
理由は簡単です。
お金が不足するのは、使い過ぎているからです!
では、なぜお金を使いすぎてしまうのか。
それは、いくらまで使っていいのかが、判っていないからです!!
通帳は1冊にまとめろ!のウソ
昔から、複数の通帳を使うのは、お金が分散してしまうのでやめた方がいい。
通帳は1冊にまとめろ!!
と言われていました。
通帳が複数あると、支払の都度、一旦メインの通帳に資金移動させなければいけません。
最初から、メインの通帳しかなければ、資金移動の必要はありません。
メインの通帳だけなら、その残高を見ながら支払計画が立てられます。
でもこれは、現金商売ではない場合の話です。
売掛金、買掛金の他に手形の決済もあるような会社のお話です。
飲食店の場合は、基本、現金商売で、入金が先行します。
すると、通帳には、来月の支払いに充てるべきお金(予算)と、今月使ってもいいお金がごちゃ混ぜ状態で存在することになります。
これでは、知らないうちに来月の予算まで使ってしまいます。
そこで
今月は「あといくら使ってもいいのか」を判り易くするシステムは無いかと考えた結果たどり着いたのが、この方法です。
といっても、私のオリジナルではありません。
以前から、「家計簿」の世界で使われてきた「袋分け家計管理法」を事業用にアレンジしました。
「袋分け家計管理法」とは
「袋分け家計管理法」とは、生活費の予算を袋に振り分けて、その範囲内でやりくりするという家計管理の方法です。
お給料を引き出し、月末に翌月に使う予算を決めて、ざっくり決めた項目別の袋にお金を分け入れます。月中は、予算の範囲内で使うことを守ります。
この方法のメリットは、
「あとこれだけの金額しか残っていないから、今月はもう使いすぎないようにセーブしよう。」などと、月内で調節する心理が働くことです。
これを、飲食店経営にアレンジしていきます。
まず、袋の代わりに通帳を4冊準備しよう!
4冊の通帳を準備します。
個人事業主の場合は、プライベート用の通帳も必要なので、5冊準備してください。
4冊の内訳はこのようになります。
通帳(A)
通帳(A)は、クレジットなどの振込入金と日々の現金売上高を預ける入金専門の通帳です。
預入れは、基本的に、毎日入金してください。
ほぼ毎日使う口座なので、通帳(A)はお店に近いか、ご自宅に近い銀行の口座になりますね。
通帳(B)
通帳(B)は、現金払いの経費の精算のほか、水道光熱費、電話料金、家賃、カードの引落、借入金の返済など支払専門の通帳です。
実のところ、この通帳(B)の管理が一番大変です。
そこで私がおススメするのが、無料の「家計簿アプリ」です。
私も長らく愛用していますが、予め判っている金額を忘れずに記録させておけば
いちいち、電卓を叩かなくても、月末の予想残高がいつでも手軽に確認できます。
是非、ご活用ください。
また、現金払いの経費精算もこの口座で行います。
経費精算は、実費精算です。
精算のタイミングはお店の状況により変わってきますが、経費は1円単位で差額なく精算していきましょう。
蛇足ですが、実費精算の頻度を落とす工夫を少しだけご紹介しておきましょう。
- A店では、在庫管理の精度を上げて、業者発注分を増やし、近所のスーパーでの買い物を減すことにしました。
- B店では、お買い物リストを作成して、買い物を計画的するようにしました。
- C店では、いつも行くスーパー独自のカードを作成して、支払いを口座引き落としにしました。
通帳(C)
通帳(C)は、年間の納税予定額を積み立てる、納税専用の通帳です。
利益が出ても、通帳(C)に納税資金がプールされていれば、安心して過ごせます。
なお、年間の納税予定額は、税理士にお尋ねください。
通帳(D)
通帳(D)は、お楽しみに口座です。
頑張っている自分たちにご褒美があってもいいじゃないですか。
通帳(D)は、その為だけの口座です。
だから、どんなことがあっても死守してください!
よく「お金が余ったら貯金する」と考えていると貯金はできない。って言いますよね。
理屈は、同じです。
具体的な運用方法
では、具体的に見ていきましょう。
通帳(A)からの引き出しは、月に一回のみです。
月末に、通帳(A)の残高を全額引き出します。
⇓
まず、通帳(A)の残高の5%分を、通帳(D)に入金します。
⇓
次に、年間の納税予定額を1/12した金額を、通帳(C)に入金します。
⇓
個人事業主の場合は、このタイミングで生活費をプライベートの口座に振り替えます。
⇓
最後に、残金を全て通帳(B)に入金します。
翌月の経費は、通帳(B)の残高で払える範囲でやりくりします。
家賃、水道光熱費、通信費などある程度金額が決まっているものもあります。
それらの金額を考慮すると、翌月経費として使える金額は、おのずと計算できます。
そうなると
何か欲しいものがあっても、通帳の残高がなければ、今月は買うことはできません。
頑張って通帳(A)の残高を増やして、来月買おう。という思考回路になります。
しかし、今月使える金額がいくらなのかが判らないと、あきらめる理由がなく、買ってしまいます。
これが、多くの飲食店でお金が不足する原因です。
また、この「お金の管理術」を毎月地道に繰り返していると、決算期には、まとまった金額が通帳(D)に貯まっています。
通帳(C)に、納税資金がブールされていますから
通帳(D)に貯まったお金は、頑張った自分達へのご褒美として、自由に使いましょう!
さて、あなたなら、通帳(D)に貯まったお金を、何に使いますか?
- 慰安旅行に行きましょうか
- 高性能の食洗機を買いましょうか
- お店を少し、きれいにしましょうか
考えただけで、ワクワクしてきます。
このワクワクを楽しみに、今日も頑張りましょう!
まとめ
今までお金が貯まらなかったのは、今月、経費で使えるお金の限度が判らなかったからです。
通帳の使い方を一工夫すると、今まで判らなかった、経費限度額が、いとも簡単に判ります。
限度額さえ判れば、もう大丈夫!
来月の入金を皮算用することなく、今月の経費は今月の限度額内で賄いましょう。
とはいえ、既に自転車状態で営業を続けているお店で、いきなり売上を通帳(A)に預けるなんてことをしたら、通帳(B)の支払いがストップしかねません。
この場合でも、少々時間がかかりますが、通帳(D)にお金が貯まるようになります。
「もう少し具体的に聞きたい。」と思っているあなた
「ウチの場合でも出来るの?」と思っているあなた
お気軽に、お問い合わせください。
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